2012-04-02

父とイチローを見にシアトルに行く 改め トロントに行く

【12-07-24 イチローがニューヨークヤンキースにトレードされたためタイトルを変更しました。】

72歳になる父は野球が好きである。MLBの試合は、野茂がアメリカに渡り、NHKのBSが日本人選手が出場する試合を中継し始めた頃から見るようになった。ここ数年のお気に入りは、やはりイチローである。

父にはいろいろと迷惑をかけた。大学に進学するため実家を離れた時には4年間仕送りをしてくれた。就職してからも何度となく転職した時も、仕事を辞めてヨーロッパに2年いた頃も、無一文になって実家に帰ってきた時も、その後仕事が見つからなかった頃も、息子が心配だったろうと思う。応援してくれていたはずだったのに、「お前何しに外国に行ってきたんだ?」と後から言われた時には落胆したが、それも息子を思えばのことだろう。それでもいつの頃からか、信頼してくれるようになった。なぜかは分からない。そしてそれに応えねばと感じたりもする。

父には、覚えている限りではお返しをしたことがない。その昔、珍しく水泳の大会を見に来てくれた時には、表彰台の上でお行儀の悪いことをする息子に恥ずかしい思いをしただろう。あの時普通に振る舞っていたら、父のいい思い出になり、親孝行できていたかもしれない。

思い立って父に聞いてみた。イチローが現役で活躍しているうちに、シアトルにマリナーズの試合を見に行かないか?と。まんざらでもない表情だった。そしてついでに観光でもするかと聞くと、別にいいと言うあたりが父らしかった。
それから4年経つが、計画はまだ実現していない。今シーズン(2012年)のマリナーズの最終戦は10月3日、ホームでのエンジェルス戦である。それまでの間に、行けるのだろうか。

【欲求】★★レベル2
柄にもなく、父の息子であり、家族の一員でありたいと願う自分がいる。そして父に認めてもらいたい気持ちもあるのかもしれない。

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父に電話してパスポートを取るよう伝えた。そして9月20日発、シアトル行きの航空券を予約した。9月21日、22日、23日はマリナーズ対レンジャーズ3連戦。
仕事は休めそうだ。今年は前半が本当にきつい。9月末も暇ではない。職場には悪いが遅めの夏休みを取らせてもらおう。

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父にどの席に座りたいか尋ねると、1塁側の内野と外野の境目あたり、1塁ベースがよく見える席がいいという。1塁側がないなら3塁側の同じ位置。父の希望を確かめてからマリナーズのホームページを見た。すると前方の列のいい席は既に売れていた。慌ててできるだけいい席を確保した。3試合、各2席、合計6席。料金は約500ドル。自分としては、野球観戦に費やす金額としては十分大きい。もっと早く気づいていれば、父がもっといい席で試合を見られたかもしれないと思うと心残りだが、あまり高い席では父も気を使うだろうから、これくらいでよしとする。

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朝、電話で目が覚めた。父からだった。イチローがシアトルマリナーズからニューヨークヤンキースへトレードされたという。驚いたが、シアトル行きはキャンセルしてやり直そうと、迷わず父に伝えた。
夕方、仕事が終わると、ヤンキースの試合予定を調べ、どの試合が見たいか父に尋ねた。9月14日、15日、16日にホームで松井秀喜が所属するタンパベイレイズとの試合があるが、松井はシーズン終盤までチームにいるか定かでないという。他にはアスレチックス、ツインズ戦など。父が選んだのは、9月27日から30日まで、アウェイのトロントブルージェイズ4連戦だった。ニューヨークは行ったことがあるからトロントがいい、と父。自分的にはニューヨークに行く機会を逃したが、今回の旅行は父のためにある。父の希望を優先しよう。
シアトル行きの航空券をキャンセルした。キャンセル料は2人分で60,000円。ホテルは幸いキャンセル料は取られなかった。9月21、22、23日のマリナーズ対レンジャーズ戦のチケットはキャンセルできず、約40,000円を捨てることになる。行く人がいれば譲りたいが、仕方がない。アメリカ入国のためのESTA登録も既にしていたが、トロントへの往復の途中でアメリカのどこかで足止めを食らった時に役に立つかもしれない。

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トロント行きの航空券を手配した。仕事が忙しい時期が続いたが、合間に何とかできた。帰りはワシントンDCにストップオーバーする。はからずもESTA登録が役立つことになった。ホテルも球場のチケットも予約した。ついでにワシントンDCではセグウェイのツアーも予約したが、父にはまだ内緒である。
父に、ナイアガラの滝に行ったことがあるか聞くと、ないという。家族で誰か行ったような気がしたが、妹だった。カッパと濡れてもいい靴を用意するよう父に伝えた。

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父とともに、トロントで9月27・28・29・30日の4連戦を観戦した。イチローが所属するヤンキースは2勝2敗。ヤンキースのジーター、イチロー、Aロッドと続く打順は見てみてわくわくした。しかし打線がつながらない展開が多かった。6番打者、グレンダーソンは打率は低いが今シーズンのホームラン本数はチームで1番の打者で、この4連戦でも期待していたが、ランナーが出塁する中で一発が出なかった。
イチローは4試合にフル出場。ライトでグラブの先端からボールがはみだしながらも捕球したファインプレーが、3塁側の内野席からばっちり見えた。父は満足してくれたようである。
その後ヤンキースは、ボストンでの3連戦の最終戦で地区優勝を決めた。トロントではお預けとなったグレンダーソンのホームランも出た。

父にはこれが最後の海外旅行となるかもしれない。
トロントには4泊5日だったが、父が海外で最も長く滞在した町となった。清潔で、整然とした街並みでは迷うこともなく、過ごしやすいところだった。グレイハウンドのバスに乗り、ナイアガラの滝にも行った。ワシントンDCではセグウェイツアーに参加し、ホワイトハウスやスミソニアン国立航空博物館も訪れた。


言葉が通じない、行ったことのない土地で、現地に到着してから情報を仕入れ、野球を見に行ったり、公共交通機関を使って移動したり、レストランで食事したり、父1人ではできないことばかりだったろう。それに同行し、トラブルもなく無事に帰って来たのだから、自分としてはよく働いたと思う。
旅費はすべて息子持ちである。シアトルのキャンセル料も含めてそれなりにかかった。しかし全部でいくらかは、怖いので足し算しないことに決めた。その代わり、帰国してすぐに銀行の預金の残高を確認した。幸い、冬のボーナスまでの間、自らの欲求と仲良くしながら過ごせる程度の額は残っているようである。

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