2012-06-03

Speedway GP スピードウェイ・グランプリ

シングルスピード、固定ギア、ブレーキなし、というと最近公道を走ると摘発されるいわゆる「ピスト」自転車を思い浮かべる。自転車が悪いからではない。乗る人の問題だ。
こんな人は乗ってもいいかもしれない。閉鎖された専用のトラックで速さを競うために作られた自転車を自在に制御して走り、曲がり、停まることができ、公道で周囲の交通と調和して安全に走ることができる。簡単にいうと、路上で安全に競輪ができる人。
どんな自転車でも、公道で走っていればいつか事故を起こす。その危険は常にある。事故を防ぎ、人が傷ついたり、命を失ったり、奪ったりするのを防ぐための準備は、自転車にも、乗る人にも必要だ。
自転車に乗る時は、心にもブレーキを。


さて、もちろん公道から隔離されたレース場(ダートトラック)での話だが、シングルスピード、固定ギア、ブレーキなしのオートバイで行われる競技がある。スピードウェイ Speedway だ。チェコ、プラハで深夜に偶然テレビ中継を目にした。ネットで調べたところ、FIM(国際モーターサイクル連盟)の競技種目の1つとして認められ、世界選手権が行われている。日本語の詳しい情報が見当たらないので、日本のネット上でマシンの諸元まで紹介されるのはこれが初めてではないかと思う。
スビードウェイは、1周 260〜425mのダートトラックをオートバイで4周回する競技である。歴史は意外に古く、アメリカでは1914年以前から、イギリスでも1928年から行われている。
現在使用されているマシンは、エンジンは4ストローク空冷単気筒500cc、チェコのJawa社製またはイタリアのGM社製(日本のオートレースは4ストローク空冷並列2気筒599/498cc、スズキ製)。燃料はメタノール。点火プラグは1つ。キャブレターは1つ、径は34mmまで。サスペンションはフロントフォークにあるが、後ろはない。車重は77kg以上。チタン材料、エンジンの電子制御、過給器(ターボ、スーパーチャージャー)は禁止。地味だがいい内容だ。高価な先端素材を使った軽量化が制限された、比較的廉価な鉄のオートバイなので、その気になれば誰でも参加できそうだ。


走りもシンプル。スタートでクラッチをつなぎ、後輪をスピンさせてスライドしながら左コーナーを曲がると、ストレートで加速し、スライドしてコーナーリング、ストレートで加速、を繰り返して4周。最高速度は、ストレートが長いトラックで110km/h以上に達する。
世界選手権は3月から10月まで、世界各地で12戦を行い順位を決定する。ライダーは16人、うち15人はレギュラーで1人はワイルドカード。1回のレースはポイント制の予選20ヒート(ライダー16人、1ヒート4人、ライダー1人当たり5ヒート走る)ののち、準決勝、決勝が行われる。
昨年(2011)の覇者はアメリカのグレッグ・ハンコック。プラハで見たテレビ中継は5月26日にスウェーデンのイエテボリで行われた今季(2012)第4戦だったが、予備知識ゼロで見てもハンコックの走りは光っていた。次戦は6月9日のコペンハーゲンGP

【欲求】★レベル1
何がともあれ面白い。シンプルでローテクな鉄のバイクが、いかにもモーターサイクルらしい。それで世界選手権をやってしまうのだ。見たいし、できることなら自分も乗ってみたい(さすがにバイクが欲しいとまでは思わない)。日本でテレビ中継を見られるか分からないが、YouTubeで動画が多数公開されているので、関心のある方はご覧あれ。

それにしてもスピードウェイのマシンは日本のオートレースによく似ている。1949年に始まったオートレースは当初ダートトラックで行われていたというから、起源はスビードウェイだったのかもしれない。そう考えるとオートレースにも興味が湧いてくる。
オートレースは賭博の対象という、退廃的で消極的な印象を持っていた。しかしスピードウェイを知ったのがきっかけで見え方が変わった。モータースポーツではないか!
もしオートレースがアマチュアも参加できるモータースポーツの頂点として位置づけられたら、きっと印象が積極的な方向に変わることだろう。現状ではアマチュアが公営競技場で走るのは許してもらえないだろうから、代わりに小さなダートトラックと小さな排気量の軽いマシンでスピードウェイを体験したり、草レースに参加したりできる場があるだけでも十分だと思う。
日本人成人男性の平均体重は60kgを超える。オートレースの選手になりたくてもなり得ない人が過半数を占めるということだ。自分も含めた多くの人にとって、オートレースがただ見るものから体験できるものになったら楽しいに違いない。

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投稿後、ウィキペディアに「スピードウェイ・グランプリ」の項目があるのを見つけたため、タイトルを分かりやすく「スピードウェイ・グランプリ」に統一した。

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ロシア、ウラジオストクにある「旧式自動車歴史工学博物館」にスピードウェイのマシンが展示されていた。(地元の人は省略して「レトロ自動車博物館」と呼んでいた。)



町中にもレースを宣伝する大きな看板が出されていた。地元の、オートバイに興味のない人にこれは何かと聞くと「モトクロス」という答えが返ってきた。スピードウェイという特定の種目としてでなく、普通のオートバイのレースとして認識されているようだった。
このシンプルなマシンによるダートトラックレース、ロシアや東欧で盛んで、一般にも親しまれているようだ。

なお、ロシア国内にある自動車の歴史に関する博物館は、ウラジオストクの「旧式自動車歴史工学博物館」だけという。収蔵されている自動車はすべて走れる状態に整備されており、予約すれば借りて路上を運転できる。料金は1時間6000ルーブル。(※道路交通事情が日本とは異なるため、地元に住んでいる方でない限りお勧めしません。)
貸し出しは四輪のみで、残念ながらオートバイは借りられなかった。

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